バルト海の十字架をご紹介します。

みなさんこんにちは。

阿加井秀樹です。

今回ご紹介する作品はバルト海の十字架という作品です。

本作品はロマン主義を代表する宗教的風景画家カスパー・ダーヴィト・フリードリヒが描いた作品です。

フリードリヒは、少年期に母を亡くし、弟も自分の身代わりとして亡くしております。その心の傷から鬱が高じて自殺を図った事があるともいわれております。また1789年、隣国のフランス革命などの激動の時代に青春を迎え、30代には、ナポレオンのドイツ支配を経験しております。後年はウィーン体制下の抑圧された時代に生きたといわれています。同世代人にヘーゲル、ベートーベン、シュレーゲル、ルンゲ、また、カント、ゲーテ、シラーなど作品は、自然の風景、それも高みや遥か彼方を見据えるもの、廃墟になった僧院、墓地、古代の巨石墓、槲の木などがよくモチーフとして取り上げられております。本作も同様の観点から見える景色があります。

彼の作品はどこかネガティブな作品が多く、本作品からは彼が生きたであろう、世界の憂鬱館や、悲しみが見て取れます。バルト海は俗にいうバルト三国の時代の話で、戦争や飢餓が絶えなかったといわれています。そのような話を耳にしてから本作品を見ることで、いろんな考えがめぐるのではないでしょうか。

実は風景画の中に、宗教的、政治的、精神的な意味を込めフリードリヒ自身は、ほとんどの作品に題名らしい題名を与えていないため、ここに記述した題名のほとんどが、後世に付けられたよ言われています。

それではまた。

阿加井秀樹