「グランド・ブダペスト・ホテル」

みなさんこんにちは。阿加井秀樹です。

 

今回ご紹介する作品は「グランド・ブダペスト・ホテル」という作品です。

 

ピンクを基調としたキュートな箱庭で展開される冒険活劇は、ただのオシャレな映画にとどまらない、豊かなエンタメ性を有した素晴らしい作品です。

 

ヨーロッパ大陸の東端にあるという仮想の国ズブロフカ共和国を舞台に、ある富豪の殺害容疑をかけられたカリスマホテルコンシェルジュと、彼のお供をする見習いベルボーイの逃亡劇を描きます。

 

ウェス・アンダーソン監督は過去作と同様、神経質なまでにシンメトリーにこだわった画作りや、これでもかと散りばめた可愛らしい小道具など、徹底的に「美」を追求した演出を全編に施しており、スクリーンを眺めているだけで不思議な感動を覚えてしまいます。

 

それでいて、監督自身による脚本は非常によく練られており、設定だけが面白い話にとどまらない、普遍的な魅力にあふれていました。

 

主人公たちの逃亡のロードムービー的面白さを堪能し、彼らに手を差し伸べる「ある人々」の連携プレーに感心させられ、過去を振り返る形で語られる物語の結末には、思わず切ない余韻まで感じさせられます。

 

芸術的センスとエンタメ性の高いレベルでの融合が、監督の作品群の中でも特に高い評価を得ている要因ではないでしょうか。

 

それではまた。阿加井秀樹